侯爵に忠実な執事として徹底的にストイックに生きた一人の男の悲哀を描いた物語。恋を知らぬ彼は安っぽい恋愛小説に慰めを得、それを女中頭に見つかり頬を赤らめる。互いに愛情を感じながらもその感情を抑えこんでしまう彼に、彼女は待ちきれず、彼の友人と結婚し町を去る。戦後、侯爵がこの世を去り、ようやく自由を感じた彼は女中頭を訪ねるのだが……。 allcinema ONLINE (外部リンク)
というあらすじで、仕事に忠実すぎるあまり自分の気持ちに素直になれず、「覆水盆に返らず」を実感できるような映画。
男は完璧な執事という立場から、好意があるのに女性の気持ちに答えない…というか考えられないもよう。女は男が好きで、一生懸命に伝えているのに、相手が答えてくれず、やがて自暴自棄になって他の男の元へ飛び立ってしまう…。
第二次世界大戦が終わって数年が経った「現在」と、回想シーンの第2次世界大戦と時代と、行ったり来たりしながら場面が変わっていくのですが、すんなりと理解できる。
そして、「完璧な主人に仕えるのが執事の本望」と尽くす主人公の、ナチス・ドイツに染まっていく前主人のダーリントン卿に違和感を感じつつも忠実に使える姿が、進むに連れて痛々しいです。
それに対して、ベン夫人、旧姓のミス・ケントンの、自分に正直で情熱的なこと。共感できます。
おそらく男性は、主人公のスティーブンスの方に共感できるかもしれません。
歴史ものの話に感じますが、今の私達の状況に置き換えらえる…会社に仕える男性と自分の気持ちに素直になりたい(シゴトを捨てて好きな人に添い遂げる)女性の違いと人生が描かれているようです。
あ~、なんかじわじわ来ます。人生の虚しさとか、虚無感とか…。アンソニー・ホプキンスの抑えた演技で、より一層「加齢臭」てきなものが伝わってきます。ああ、老年の哀愁というか。
それにしても、イギリス紳士はツイードが似合いますね~
そして、映画の中でもよくでてきた「ダンケルク」。映画にもなったので、見たくなってきたのでした。
寒さで震えているゆきるん@今日は在宅です。
先週に比べると暖かいんですが、暖房をつけていないと、手が凍えてキーボードが打てません。
昨日は、京都シネマに会員更新ついでに、ノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロが一躍有名になった「日の名残り」を観に行きました。私の大好きな、アンソニー・ホプキンスが出ていたからなのですが…。
平日の昼間だというのに上映開始まで30分以上あるのに、チケット売り場は長蛇の列。「日の名残り」に差し掛かっているような妙齢の老老男女のみなさんが、指名して「日の名残り」チケット買ってるよ~
私は60番代でなんとか前の席に座ることができましたが、立ち見満員御礼。京都シネマがこんなに混んでいるとは、久しぶり。客層が多様性ほぼなく揃っているのもびっくり。
原作も未読で、難しそうイメージが先行して、あまり期待していなかったのですが、じわじわと来るスルメのような映画でした。